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ハンコレスは今後どうなる?でも脱ハンコできない場面が人生にはあります

ライフハック
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こんにちは。年末調整の時期がやってきましたね。書類作成がめちゃくちゃ苦手なひなこです。

公的書類を書く時、ハンコを押すのは鉄則なわけですが、とにかくめんどくさい。本当に必要なの?と毎回思います。菅内閣は首相の肝いりで「脱ハンコ」が推し進めていますが、令和二年度の年末調整はまだハンコ欄がありました。残念。

本格的にハンコがいらなくなるのはいつなのか、逆にどんな場面では今後もハンコが必要なのか、調べてみました。

ハンコレスは早ければ来年度2021年4月から始まります

2020年10月に発足した菅内閣。規制改革担当大臣の河野太郎氏が異例のスピード感でハンコ廃止の見直しを各省庁に呼び掛け、着々と進めているところですが、廃止にあたっては法改正等も必要な部分が多々あるため、実際には2021年度4月から徐々に始まっていくようです。

自治体によっては既にハンコ廃止を終えているところもあります。例えば福岡市。福岡市では役所に提出する書類への押印義務を2020年9月末にすべて廃止し、国に先駆けてハンコレスを達成しました。

出典:「福岡市、ハンコレス完了!」なぜ福岡市は自治体で一番最初にハンコレスを達成できたのか【前編】

「ハンコ」を押す理由は「真正さの担保」と「文書完成の担保」の二つ

そもそも、これまで日本社会でハンコが使われてきた理由は何なのでしょうか?

「ハンコ」を押す理由の一つは、押印した文書の真正さを担保すること(真正さの担保)、もうひとつは文書の作成が完結することを担保すること(文書完成の担保)です。簡単に言うならば、真正さの担保」とは「この文書は私の作成したもので間違いありません」、「文書完成の担保」とは「この問題に関する文書は今ここにあるものだけです」と証明するものです。

それが一番わかりやすいのは人が亡くなった時。遺言書を確認する時です。

実は「遺言」作成の場面では「ハンコ」が重要な役割を果たす!

遺言を作成する場合、通常、自筆証書遺言公正証書遺言のいずれかを選択します。そして、そのいずれにもハンコは遺言の成立要件の一つとなっています。

「自筆証書遺言」の場合

自筆証書遺言は、最もシンプルな遺言書で、遺言者本人が自分で作成する遺言書のことです。自力で作成するため、だれにも内容を知られずに作成できる利点があります。

遺言は遺言者(遺言書を作成した人)が死亡した時にその効力が生じます(民法985条1項)。

民法985条1項(遺言の効力の発生時期)

遺言は、遺言者の死亡の時からその効力を生ずる。

遺言の効力が発生した時には、当然のことながら、既に遺言者はこの世にいないので、「これは私が書いたものですよ」と言うことはできません。そうなると「この遺言書は本当に亡くなった人が書いた(残した)ものなのか?」と相続人や利害関係者などから疑義が出されて、身内同士で遺言書の真贋をめぐって争うことになりかねません。

そこで民法は、遺言者本人が自分の意思で残した文書である真正さと文書完成を担保することによって、遺言の内容を確実に実現するため、自筆証書遺言に遺言者がハンコを押すことを課しています。

「公正証書遺言」の場合

遺言者が公証人役場に行くか、公証人に出張を求めて、公証人に作成してもらうのが「公正証書遺言」です。公正証書遺言の作成方法は民法に次のように規定されています(民法969条)。

民法969条(公正証書遺言)

公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。

一 証人二人以上の立会いがあること。

二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。

三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。

四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。

五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

「公正証書遺言」の場合、遺言者本人はもちろんのこと、公証人と証人にも押印を求めています。しかも、遺言者本人は本人確認のため、役所に印鑑登録した「実印」で押印するきまりになっています。

このように、遺言書(公正証書遺言)作成や、不動産の売買などの場面においては、実印および役所から発行される「印鑑登録証明書」が今後も使用される見通しです。

みんなの幸せを守るため、人生の重要な場面でハンコは大事なのです

人生の重要な場面では「ちゃんとした本人確認」が必要であり、そのためにハンコは必要不可欠である、というのが現段階での政府の見解です。

手続きの煩雑さを無くすシステムを社会構築することはもちろん大切です。でも同時に、一人一人が「真正さの担保」と「文書完成の担保」という本来印鑑がもつ二つの役割を念頭に置き、責任をもって一つのハンコを押す。その意識が大事なのでは、と思います。

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ひなこ

50代前半未婚女子。療育関係に長年勤務し2022年春退職。80代の父を介護し看取りました。現在は公認心理師 と専門学校の生物の講師を兼業。アドラー心理学と認知行動療法、女性活躍推進コンサルタントを勉強中です。ここでは様々な生き方に関するお役立ち情報と耳や目に関わることについて発信しています。

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