こんにちは。比較的地震の多い地域に住むひなこです。私はこれまで支援学校で働いてきました。障がいのある人達は突発的な出来事に弱いです。特に災害が起きると自分たちだけで身の安全を確保することが難しくなります。障がいによって災害時に困ることはまちまちですが、今回は聴覚障害者の災害時に困ることと、避難グッズであると便利なものについてまとめてみました。
老人性難聴、中途失聴等の方にも役立つ情報だと思いますので、是非ご一読ください。
災害が発生した瞬間から聞こえにくい人は困ることがたくさん!周囲の支援が必要です
聞こえない人たちがよく言うことは「暗闇が怖い」です。これは単に視界が開けないから、ということだけではありません。以下のような困る理由があるのです。
1:サイレンや放送が聞こえないので避難が遅れがちになります
災害はいつ起きるかわかりません。特に深夜の時間帯はぐっすり寝ているのでなかなか災害に気付くことは難しいものです。聞こえない人の場合はサイレンや放送で危険を知らされてもわかりません。日頃補聴器などを付けている人でも寝ているときは外しているのでわからないのです。
災害時には他の人に教えてもらわないといつまでも気づかず命を落とすこともあります。知り合いの方はご夫婦で聞こえないのですが、自分の家から出火していてもぐっすり寝ていて気付かず、近所の人が家に飛び込んで起こしてもらい難を逃れた、ということがありました。
聞こえない人の中には、匂いならわかる、ということで夜も窓を開け放して寝ている方もいるそうです。災害は初動が大事だと言われます。周囲に聞こえない人がいたら是非声をかけて異常を知らせ、避難を一緒にしてください。
2:呼びかけが聞こえないので、助けがきてもわかりにくいです
私たちは、阪神・淡路大震災、東日本大震災の事例から沢山のことを学びました。しかし未だに意外と見落とされているのがこのことです。
大きな震災が起きて家の下敷きになった人たちはたいていの場合、声をあげたり、物音をたてたりして助けを呼びますよね。それに気づいて救助隊が来てくれます。救助される側は、救助隊が来たことを物音や歩く音、呼びかけによって知り、安心します。
しかし、聞こえない人たちは助けを何らかの形で求めることはできても、それによって救助隊が来てくれるのか、知る術がありません。その間の孤独感は大変なものだと思われます。救助する側が光を差し込んでくれると、それは希望の光となることでしょう。助ける側は自分たちの存在を見てわかる形で表現することが大切なのです。
3:停電になると、手話や筆談で話すことができずとても不安です
聞こえない、聞こえにくい人たちは常に視覚情報が頼りです。そのため、光が十分にない場所は彼らにとってはあまり心地よい場所ではありません。幼い聞こえない子供たちにとってはなおさらです。
東日本大震災の時に実際にあった話を一つ紹介しましょう。
東北のとある聴覚支援学校(聾学校)では、震災が起きたのは15時前だったため、子供たちが校内にまだ多く残っていました。そのため、先生たちは体育館一カ所に子供たちを集め、寄り集まって暖をとり、食べ物を分け合い、励ましあって過ごしたそうです。
しかし、夜になると「闇が怖い」と幼い子供たちが泣き始めました。近くにいても友達や先生たちのの言っていることや表情がわからないからです。そこで、先生たちは自分たちの車を体育館に寄せ、子供たちを自動車灯で一晩中照らし続けたそうです。保護者が迎えに来るまでの三日間、そうやって過ごした、とのことでした。
聞こえない、聞こえにくい人たちにとって、視覚的な情報が奪われることは孤独に突き落とされることと同等であることがこのエピソードでご理解いただけるのではないでしょうか。
聞こえない方々を支援する時には、何が起きているのか、何を話しているのか、これから何が起きるのか、放送で何が伝えられているのか、細かく文字や手話で伝えてあげることが重要です。
4:テレビに、字幕・手話がないと災害の様子がわかりません
災害時には情報が頼りになります。どこに避難すればいいのか、何をしてよいのか、ダメなことは何か。支援物資はどこにあるのか。トイレは?救護所は?安否確認はどうすればいい?知っておくべき情報は満載、刻々変化します。
過去の震災では、聞こえない人が同じ避難所内にいる、ということがなかなか周囲に認知されず、食糧支給が行き届かなかったり、病気について相談できる日時や場所がわからず大変な思いをした聞こえない方々がいました。全国各地で起きた水害の時も同様でした。
テレビが受信できるならば字幕機能を活用しましょう。また、手話ができるならば手話で、そうでなければ地面や紙に字を書くことで情報提供が可能になります。
5:避難先で、物資や食料の配給など、大切な連絡や情報が伝わりません
上の4とほぼ同様のことです。避難生活では刻々と状況が変化し、食事時間や支援物資を受け取る場所や時間が変更になります。そしてたいていの場合は、拡声器を使って一斉に放送にて知らされます。
聞こえない人たちからするとこれが一番困るのです。拡声器で口元は隠され言葉が読み取れません。ワンワン響く音は補聴器を使っても聞き取りにくいです。何より音声情報はその瞬間だけで後に残らないので確認にしようがありません。
そのため、聞こえない人たちには掲示物が頼りになります。情報を紙に書き出して張り出してもらうことでどの人にも同じ情報を間違いなく伝えることが可能になります。
そもそも、音声によるアナウンスに気付いてない(気づけない)場合も多いです。気づいてないな、と感じたら肩をたたいて、情報の内容を書いて伝えるようにしましょう。
事前に準備しておけば安心感できる防災グッズ
以上のことから、通常の防災グッズに加えて、聞こえない(聞こえにくい)人たち特有の持っておくべき防災グッズがあります。
「転がす」「背負う」「持つ」3WAYキャリーリュック採用 ものすごい防災セットシリーズ
障害者手帳
身体障害者手帳ひとつあれば、様々なサービスを受けやすくなるだけでなく、あらゆる身分証明になります。日頃から持ち歩いておく習慣をつけておきましょう。
補聴器用電池と電池チェッカー、乾燥材入り保存ケース
補聴器は電池が切れてしまうと何の役にもたちません。また、濡れたら一巻の終わりです。そこで、日頃から電池は防災グッズの中に準備しておきましょう。最近は充電式のボタン電池も売り出されているようです。通常の電池で使用するならば電池チェッカーは必要不可欠です。補聴器に湿気は禁物。乾燥材入り保存ケースを準備しておきましょう。
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電池チェッカーは色々なサイズのものが測れるこちらがおススメ充電器(スマートフォン用、電池用)
災害対応の専門家によると、まずは日頃から複数の充電器をこまめに充電させて持っておくこと。そして災害時の充電器として一番良いのは電池式だそうです。そして、ソーラーパネルが装備されたタイプや、手回し発電(ダイナモ)式など、その場で電力をつくるタイプのものは発電効率も低く、なかなか満充電することはできないので予備として持っておくつもりが良いそうです。
電池を使用した充電器ならばこちらがおススメ↓↓↓↓
筆談用ノートや筆談ボード、筆記用具
1対1で行う会話であれば、スマートフォンのメモ機能や専用アプリを使うと簡単に筆談が行えます。情報をスピーディーに沢山伝えるならば手書きが勝手良いでしょう。
支援学校などでは手軽に使える「ブギーボード」が一般的になっています。↓↓↓↓
ライト(懐中電灯)
先天性聴覚障害者の場合、声を出すことが苦手で小さい声しか出ない人もいます。老人の方も長時間大声を出すことは困難でしょう。そういう時には懐中電灯を点滅させて救助を呼ぶこともできます。こちらの商品は軍用のため、非常に堅牢で耐久性にすぐれています。さらに、最大約500メートルの照射距離と1600ルーメンの明るさで非常に明るいです。点灯のパターンは5段階で、用途に応じて切り替えることができます。↓↓↓↓
助けを呼ぶためのブザー、笛
先天性聴覚障害者は長く強い息を出すことが苦手な人が多いです。小さいお子さんや高齢の方も同じだと思います。この笛はレビューを見ると軽く吹いても高音で強い音が出やすいホイッスルだそうです。かなり大きい音で驚くため、音のカバー範囲400平方メートルだそうですよ。おススメです。
ヘルプカード
「ヘルプカード」は、障害のある方などが災害時や日常生活の中で困ったときに、周囲に自己の障害への理解や支援を求めるためのものです。現在、各区市町村において、ヘルプカードの他、SOSカードや防災手帳など、地域の実情に応じたさまざまなカードや手帳などが作成されています。欲しい方はお住いの自治体に尋ねてみてください。
ヘルプカードについての説明動画もご覧になってください。(8分過ぎから聴覚障害者についての説明があります)
聞こえないことを示すマーク、グッズ
聞こえない状態は外から見てもわからない障害です。そのため、誤解を受けたり、理解されず支援を受けられないこともあります。そのため、聞こえないことを示すマークやグッズをあらかじめ準備しておき、緊急時にそれらを提示すると良いでしょう。代表的なものを以下にあげておきます。
●耳マーク(聞こえないことを全般的に表すマーク)
●手話通訳を求めるマーク(手話マーク)
●筆談を求めるマーク(筆談マーク)
●聴覚障害者であることを示すバンダナ
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