こんにちは。新型コロナウイルス感染者数が日々拡大を続けていますね。私は地方住まいですが、近しい人が濃厚接触者になったり、知り合いの地域が危険圏域に指定されたりし始めて、もう他人事ではないなと感じています。
ところで、最近感染すること自体ではなく、後遺症のことが話題になることも増えました。感染から起こる症状そのものは軽症でも、後遺症に悩まされている人も多いようです。そこで、今回はどんな後遺症があるのかについて説明していきたいと思います。
新型コロナウイルスの後遺症は「3人に1人」に起きます。症状は100種類以上あります。若い世代のほうが後遺症が残りやすいです
新型コロナウイルスに感染して治療、治癒した後に患者さんたちの証言から、治癒した後でもさまざまな症状が続くことが分かりました。イタリアの研究によると、新型コロナウイルスに感染して回復された方の約3割に後遺症を残す可能性があると発表されているそうです。
日本でも後遺症を専門に診察するクリニックもあるようです。代表的な後遺症として知られているのは微熱・倦怠感・強い疲労感・しびれ・呼吸苦・頭痛・食欲不振などで、症状が長引いたり、出たり消えたりするなど、個人差が大きいようです。
そしてもう一つ知っていただきたい大事なことがあります。後遺症に苦しんでいるのは若い世代(20代~40代)に多いそうです。新型コロナ感染症だと確定診断を受けていない人にも現れます。男女比だと女性が多くて、男性の1.5倍ぐらいになります。
新型コロナウイルス感染症の後遺症は大きく二つに分けられます
新型コロナ感染症では症状は非常に多彩ですが、大きく2つのタイプにわけられます。1つは慢性疲労症候群(ウイルス感染後疲労症候群)タイプ。もう一つのタイプは単発の症状が現れるタイプです。
慢性疲労症候群(ウイルス感染後疲労症候群)タイプ
こちらのタイプは複数の症状が出ます。3つ4つだと少ないぐらいで、5つ6つの症状があるのがあたりまえだそうです。だるさ、ねむけ、微熱、呼吸苦、体の痛み、びくつき、味覚嗅覚・・・。かなり多彩な症状が出ます。
この症状タイプは無理に体を動かすことは良くありません。逆に悪化します。慢性疲労症候群では、多くの場合、動いてしまうと数時間後、あるいは翌日、翌々日にだるくて動けなくなってしまいます。瞬間的な力は出せるのですが、力を出してしまうと、その後だるくて動けなくなってしまいます。
慢性疲労症候群とならんで、多い悩みは食欲不振です。食べ物をまったく受け付けなくなってしまう方もいます。胸やけや胸の痛みがあり、胃食道逆流症(GERD)を疑って胃カメラをやっても、CTを撮っても炎症は見られない──非びらん性胃食道逆流症(NERD)が非常に多いそうです。
この他にも以下のような症状があります。
ウイルスが直接脳神経に感染することもあるので神経障害が起きることがあるそうです。脳神経に感染すると、なんらかの神経障害が起きる(しびれなどが起きる)可能性があります。また、短期記憶が落ちてしまう方もいるようです。集中できない、字を読んでも頭に入らない、パソコンの画面がきつくて見られない(光がまぶしいからではなく、見るとつらくなってしまう)といったことを訴える方もいます。
自律神経症状も多い症状で、体位性頻脈症候群(POTS)という感染後の頻脈もあります。立ち上がった瞬間に脈拍が150に上がるといったように、少し動くだけで急激に頻脈になる症状です。
症状なのか症状からくる二次的なものかは不明ですが、不眠を訴える方も多いです。
単発の症状が現れるタイプ
脱毛
2020年4月に新型コロナウイルス感染症にかかった女優アリッサ・ミラノのこの動画を見るとその深刻さがよくわかると思います。「新型コロナウイルスによる髪の毛への影響をみんなに見せておこうと思って。この病気を甘く見ないで」
難聴
イ2020年7月にギリスのマンチェスター大学が英国立健康研究所(NIHR)と協力し、コロナウイルスと聴力の関係について発表しました。それによると新型コロナウイルスで入院した患者 120人中、13% が耳の聞こえが悪くなったと回答し、8人が耳鳴りに苦しんでいると答えたそうです。
原因ははっきりしませんが、理論的には新型コロナウイルスが中耳や内耳にある蝸牛(かぎゅう)を含む聴覚系システムの一部に問題を起こすことがあり得るそうです。
治療すれば少しずつ良くなります。長期化する場合は心のケアも大事です
割合としては、少しずつ良くなってきている方のほうが多いです。しかし、治りにくい方もいらっしゃいます。そういったある程度重くて長い方になると、抑うつや不安障害など、心にも影響が現れてきますので、それに対するケアも必要です。
新型コロナ感染症は、かなり後遺症が出やすい感染症だと言えると思います。問題はそれを診る医師が今はまだほとんどいなくて、後遺症に苦しむ人を一層苦しめてしまっていることです。今後後遺症について医師だけでなく、社会全体で理解を深めることが大切ですね。